セミナー · 02/13/2022 2022年2月13日(日) 第56回分譲マンション管理セミナー テーマ:『大規模修繕工事における設計コンサルタント・施工業者の選び方』~不適切コンサルタント問題を乗り越え、大規模修繕工事を成功させるために~ 町田市役所2階 会議室2-2 概要:第56回町田市分譲マンション管理セミナー(13:30~15:40)1.「『大規模修繕工事における設計コンサルタント・施工業者の選び方』~不適切コンサルタント問題を乗り越え、大規模修繕工事を成功させるために~」/講師: 柴田建築設計事務所 所長 柴田 幸夫氏/講演後、町管ネット主催での経験交流会(15:50~16:45)として、町管ネットが司会となりご参加いただいた皆様に話し合って頂きます。 tagPlaceholderカテゴリ: Seminar-Result, Members-Result コメントをお書きください コメント: 1 #1 新井 英夫 (月曜日, 27 3月 2023 10:42) <<.講 演 概 要>> 講 師:柴田建築設計事務所 所長 柴田 幸夫氏 テーマ : 『 大規模修繕工事における設計コンサルタント・施工業者の選び方』 ~不適切コンサルタント問題を乗り越え、大規模修繕工事を成功させるために~ Ⅰ.大規模修繕工事の実施 ○ 工事の発注と選定方式 ➀工事発注方式には、「設計施工(責任施工)方式」より「設計監理方式」を勧めている。 ②工事会社の選定では、「競争入札方式」「特命方式」より「見積合わせ方式」が多く採用 されている。 ③工事会社の選定には「VE方式」「CM方式」「プロパーザル方式」「コンペ方式」があるが、 一般的ではない。 ○管理組合における工事発注には、総会決議が必要なため、工事実施の必要性、工事の内容と その理由、工事施工者の選定方法とその経過等を十分に説明する必要がある。 ※事前の資料配布・説明会が重要 ○設計監理方式 ・コンサルタント作成の修繕設計(仕様書作成等)で全社見積もることで、工事費比較が 適切に行える。 ・第三者のコンサルタントの工事現場での検査等(監理)により、施工業者を指導し適切な品質を 確保する。 ・区分所有者に対して公明正大に工事実施せねばならない管理組合には、最も適切な方式で ある。 ○設計施工(責任施工)方式 ・工事費見積に必要な設計図書が工事会社によって異なれば、適切な競争見積もりは困難 である。 ・工事監理も同一社内で行われ、工事監理は甘く不十分になる懸念があり、管理組合側の チェックは困難 ※なお、少額・単一な工事で設計監理方式のメリットが少ない場合以外は、総会承認を 得るのは難しい。 Ⅱ.設計コンサルタントの役割 ○大規模修繕工事におけるコンサルタント業務 1.調査診断(建物等の劣化状況等調査)、2.修繕設計(設計図書作成)、3.施行者選定支援 4.工事監理(適切な工事の実施)、 5.付帯関連支援業務 【a.組合後方支援、b.紹介承認 に関する支援、c.実施業務に関する支援】※コンサルタントの考え方により違いはある。 ○コンサルタントの状況 ・マンション改修専門家による実施業務、及び信頼できる第三者的立場からの適切な支援が 必要だが、多くの工事関係会社がマンション改修業界へ参入し、玉石混交状態である。 ・過去・現在の新築技術と最新の回収技術と経験、及び管理組合運営等のソフト面の知見が 必要である。 ○コンサルタント業務の基本要件 ・管理組合運営は、情報公開と説明責任による「公明正大」であることが最も重要。 ・個々の管理組合の事情に配慮した「柔軟な対応」が必要。 ・業務は単に建築技術的実施だけでなく、組合内の合意形成等「多面的サポート」が必要。 ・マンションは長年使い続けるものであり、「長期的視野」に立ったアドバイスが必要。 ・特定の利害とは一線を画した「専業設計事務所」で管理組合の「正当な権利を守る立場」 で長くサポート。 Ⅲ.不適切コンサルタント問題 ○マンション改修業界の実態 ・たとえ法に触れずとも、バックマージンを取ることに腐心する「不適切コンサルタント」 は次の弊害がある。 ・国土交通省は、2017年1月27日「設計コンサルタントを活用したマンション大規模修繕 工事の発注等の相談窓口の周知について(通知)」により不適切コンサルタントについて 具体的に注意喚起した。 【7つの弊害】 ・管理組合の弊害 1.割高な工事費、2.過剰な工事内容、3.不明朗な工事発注、 4.甘い工事監理 ・業界の弊害 5.不適切コンサルタントの拡大再生産、6.まじめなコンサルタントの現象、 7.業界全体の信用失墜 Ⅳ.コンサルタントの選定 ○適正なコンサルタントの条件 ➀独立した専業の設計事務所・・・一級建築士(設備士)などの設計(監理)専業 ②主要業務はマンションの維持保全・・・多くの設計事務所は新築が主体であり注意が必要 ③代表者は一級建築士・・・建築技術者個人の人格と技量により成立している ④主要業務を行うのは資格(一級建築士・設備士)のある正社員 ⑤担当者の経験・実績が豊富であること ⑥リピーターの実績が多い ⑦担当者の個人的人柄・・・業務上の実績以外の社会的活動や所属する関係団体なども 重要な情報源 ○好ましくないコンサルタントの例 ➀名ばかり設計事務所・・・業務を外注事務所や工事会社に丸投げ等 ②リピーターの実績が無い(極端に少ない)・・・・・悪い評判はほかに伝わらないので リピーターの多少に反映 ③過剰な営業活動・・・メーカー・工事会社が協力している場合もある ④不要な調査項目・・・現地調査は目視調査が基本、物理的試験調査の目的と必要性の確認 が必要。 ⑤立派なだけで内容の乏しい報告書・・・メーカー・工事会社が協力している場合もある ⑥長期修繕計画策定の実績が少ない・・・業務として旨み少なく、不適切コンサルタントは 避けることが多い ⑦担当者ではなく、社長や営業が説明を据える。・・・・担当者には説得力のある説明能力 が必要 ○誤解している選定の条件と方法 ➀組織としての規模(資本金・従業員数・有資格者数等)の大小・・・個人の技量等が重要 ②経済的な営業実績(利潤の多寡、利益率まど)・・・高利益率は必ずしも依頼者側に良い ことではない ③マンション維持保全に関係のない内容や実績・・・むしろマイナス ④的外れな選考資料と過大な要求・・・誠実で優秀なコンサルタントを逃す ⑤提案型の選定方法・・・費用・時間もかかり、マンション大規模修繕工事などには不向き ○望ましい選定方法(例) ➀基本要件を定める・・・上記Ⅳ.の「○適正なコンサルタントの条件」を参照 ②依頼内容または架台の整理・・・コンサルタントへの依頼内容を内部で議論する ③選考基準を定める・・・「選定のチェックポイント」で評価表を作成する ④コンサルタントのリストアップ・・・・・信頼できる管理組合団体(町管ネット等)・ マンション関係団体((一社)クリーンコンサルタント連合会など)、 及び他の管理組合からの紹介取付け他 ⑤リストアップから選考・・・約6社から資料(会社案内・実績表等)を取付け、約3社を 直接訪問・面接・相談 ⑥見積依頼・・・相談しながら業務内容も含め提案取り付け内容を十分吟味して決定する。 Ⅴ.施工会社の選定 ○工事会社の募集・・・簡単な概要(建物概要、工事概要等)を示して受注業者を募集 ➀公募が原則 ・業界紙(集合住宅管理新聞アメニティ・建通新聞・マンション管理新聞等)に無料広告 ・町管ネット等各種団体への紹介依頼やマンション内掲示・回覧などによる募集 ②提出資料は必要最小限を簡潔に ・建物概要・工事概要・応募条件・応募要領・・・応募資格要件はなるべく少なく ○一次選考・・・・書類選考:見積依頼会社を選定 ➀選考方法・・・応募会社が対象 ・応募会社全社の比較表を作成し検討・・・「経営事項審査結果通知書」点数も有効 ②選考結果(連絡・見積依頼)・・・見積依頼会社名は、原則、最終選考まで非公表 ○見積依頼(対象:1次選考当選会社) ➀配布資料・・・・・見積依頼書、見積要領書(現地調査・質疑応答・見積提出期限や提出 先等)、設計図書(仕様書・設計図・見積項目表他)、既存図面(データ)他 ②現地調査(受付・調査日の調整)・・・工事会社が重ならないように調整 ③質疑応答(指定書式)・・・見積全社の質問を全て全社に回答する。追加説明や変更もある ④見積書提出・・・社判を押印の紙書類、通常管理組合と設計コンサルタント(データも)に提出指定 ○二次選考・・・ヒアリング会社の選定 ・選考会議で管理組合保管見積書を開封して、設計コンサルタント作成の比較表と金額を照合する ➀選考・・・比較表と各社提出資料を基に、工事金額だけではなく総合的に約3社選定する ②選考結果・・・見積書提出会社に結果連絡と当選会社にヒアリング出席を要請する ○最終選考・・・ヒアリングにより工事施工候補会社1社を決定 ➀ヒアリング・・・事前にヒアリングの案内で必要な事項を通知する ・出席者・・・現場担当技術者、積算・営業担当者 ・持参資料・・・工事に対する取り組み、組織表、行程、仮設、下請け予定会社他 ・検討課題・・・技術から胃、見積上の課題、各社アピール事項、等 ・質疑応答・・・見積上の問題、施工上の問題、会社の疑問点、現場担当者・資料への疑問 ・質問他 ※ 1社につき1時間とすると、1日3社程度が限度 ②最終選考・・・ヒアリング後、引き続き協議して全社一致を原則として施工候補会社を決定 する。 ③施工候補会社決定後・・・総会議案書・議案説明書を作成し、工事着工に向けた準備を行う。 以上
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新井 英夫 (月曜日, 27 3月 2023 10:42)
<<.講 演 概 要>>
講 師:柴田建築設計事務所 所長 柴田 幸夫氏
テーマ : 『 大規模修繕工事における設計コンサルタント・施工業者の選び方』
~不適切コンサルタント問題を乗り越え、大規模修繕工事を成功させるために~
Ⅰ.大規模修繕工事の実施
○ 工事の発注と選定方式
➀工事発注方式には、「設計施工(責任施工)方式」より「設計監理方式」を勧めている。
②工事会社の選定では、「競争入札方式」「特命方式」より「見積合わせ方式」が多く採用
されている。
③工事会社の選定には「VE方式」「CM方式」「プロパーザル方式」「コンペ方式」があるが、
一般的ではない。
○管理組合における工事発注には、総会決議が必要なため、工事実施の必要性、工事の内容と
その理由、工事施工者の選定方法とその経過等を十分に説明する必要がある。
※事前の資料配布・説明会が重要
○設計監理方式
・コンサルタント作成の修繕設計(仕様書作成等)で全社見積もることで、工事費比較が
適切に行える。
・第三者のコンサルタントの工事現場での検査等(監理)により、施工業者を指導し適切な品質を
確保する。
・区分所有者に対して公明正大に工事実施せねばならない管理組合には、最も適切な方式で
ある。
○設計施工(責任施工)方式
・工事費見積に必要な設計図書が工事会社によって異なれば、適切な競争見積もりは困難
である。
・工事監理も同一社内で行われ、工事監理は甘く不十分になる懸念があり、管理組合側の
チェックは困難
※なお、少額・単一な工事で設計監理方式のメリットが少ない場合以外は、総会承認を
得るのは難しい。
Ⅱ.設計コンサルタントの役割
○大規模修繕工事におけるコンサルタント業務
1.調査診断(建物等の劣化状況等調査)、2.修繕設計(設計図書作成)、3.施行者選定支援
4.工事監理(適切な工事の実施)、 5.付帯関連支援業務 【a.組合後方支援、b.紹介承認
に関する支援、c.実施業務に関する支援】※コンサルタントの考え方により違いはある。
○コンサルタントの状況
・マンション改修専門家による実施業務、及び信頼できる第三者的立場からの適切な支援が
必要だが、多くの工事関係会社がマンション改修業界へ参入し、玉石混交状態である。
・過去・現在の新築技術と最新の回収技術と経験、及び管理組合運営等のソフト面の知見が
必要である。
○コンサルタント業務の基本要件
・管理組合運営は、情報公開と説明責任による「公明正大」であることが最も重要。
・個々の管理組合の事情に配慮した「柔軟な対応」が必要。
・業務は単に建築技術的実施だけでなく、組合内の合意形成等「多面的サポート」が必要。
・マンションは長年使い続けるものであり、「長期的視野」に立ったアドバイスが必要。
・特定の利害とは一線を画した「専業設計事務所」で管理組合の「正当な権利を守る立場」
で長くサポート。
Ⅲ.不適切コンサルタント問題
○マンション改修業界の実態
・たとえ法に触れずとも、バックマージンを取ることに腐心する「不適切コンサルタント」
は次の弊害がある。
・国土交通省は、2017年1月27日「設計コンサルタントを活用したマンション大規模修繕
工事の発注等の相談窓口の周知について(通知)」により不適切コンサルタントについて
具体的に注意喚起した。
【7つの弊害】
・管理組合の弊害 1.割高な工事費、2.過剰な工事内容、3.不明朗な工事発注、
4.甘い工事監理
・業界の弊害 5.不適切コンサルタントの拡大再生産、6.まじめなコンサルタントの現象、
7.業界全体の信用失墜
Ⅳ.コンサルタントの選定
○適正なコンサルタントの条件
➀独立した専業の設計事務所・・・一級建築士(設備士)などの設計(監理)専業
②主要業務はマンションの維持保全・・・多くの設計事務所は新築が主体であり注意が必要
③代表者は一級建築士・・・建築技術者個人の人格と技量により成立している
④主要業務を行うのは資格(一級建築士・設備士)のある正社員
⑤担当者の経験・実績が豊富であること
⑥リピーターの実績が多い
⑦担当者の個人的人柄・・・業務上の実績以外の社会的活動や所属する関係団体なども
重要な情報源
○好ましくないコンサルタントの例
➀名ばかり設計事務所・・・業務を外注事務所や工事会社に丸投げ等
②リピーターの実績が無い(極端に少ない)・・・・・悪い評判はほかに伝わらないので
リピーターの多少に反映
③過剰な営業活動・・・メーカー・工事会社が協力している場合もある
④不要な調査項目・・・現地調査は目視調査が基本、物理的試験調査の目的と必要性の確認
が必要。
⑤立派なだけで内容の乏しい報告書・・・メーカー・工事会社が協力している場合もある
⑥長期修繕計画策定の実績が少ない・・・業務として旨み少なく、不適切コンサルタントは
避けることが多い
⑦担当者ではなく、社長や営業が説明を据える。・・・・担当者には説得力のある説明能力
が必要
○誤解している選定の条件と方法
➀組織としての規模(資本金・従業員数・有資格者数等)の大小・・・個人の技量等が重要
②経済的な営業実績(利潤の多寡、利益率まど)・・・高利益率は必ずしも依頼者側に良い
ことではない
③マンション維持保全に関係のない内容や実績・・・むしろマイナス
④的外れな選考資料と過大な要求・・・誠実で優秀なコンサルタントを逃す
⑤提案型の選定方法・・・費用・時間もかかり、マンション大規模修繕工事などには不向き
○望ましい選定方法(例)
➀基本要件を定める・・・上記Ⅳ.の「○適正なコンサルタントの条件」を参照
②依頼内容または架台の整理・・・コンサルタントへの依頼内容を内部で議論する
③選考基準を定める・・・「選定のチェックポイント」で評価表を作成する
④コンサルタントのリストアップ・・・・・信頼できる管理組合団体(町管ネット等)・
マンション関係団体((一社)クリーンコンサルタント連合会など)、
及び他の管理組合からの紹介取付け他
⑤リストアップから選考・・・約6社から資料(会社案内・実績表等)を取付け、約3社を
直接訪問・面接・相談
⑥見積依頼・・・相談しながら業務内容も含め提案取り付け内容を十分吟味して決定する。
Ⅴ.施工会社の選定
○工事会社の募集・・・簡単な概要(建物概要、工事概要等)を示して受注業者を募集
➀公募が原則
・業界紙(集合住宅管理新聞アメニティ・建通新聞・マンション管理新聞等)に無料広告
・町管ネット等各種団体への紹介依頼やマンション内掲示・回覧などによる募集
②提出資料は必要最小限を簡潔に
・建物概要・工事概要・応募条件・応募要領・・・応募資格要件はなるべく少なく
○一次選考・・・・書類選考:見積依頼会社を選定
➀選考方法・・・応募会社が対象
・応募会社全社の比較表を作成し検討・・・「経営事項審査結果通知書」点数も有効
②選考結果(連絡・見積依頼)・・・見積依頼会社名は、原則、最終選考まで非公表
○見積依頼(対象:1次選考当選会社)
➀配布資料・・・・・見積依頼書、見積要領書(現地調査・質疑応答・見積提出期限や提出
先等)、設計図書(仕様書・設計図・見積項目表他)、既存図面(データ)他
②現地調査(受付・調査日の調整)・・・工事会社が重ならないように調整
③質疑応答(指定書式)・・・見積全社の質問を全て全社に回答する。追加説明や変更もある
④見積書提出・・・社判を押印の紙書類、通常管理組合と設計コンサルタント(データも)に提出指定
○二次選考・・・ヒアリング会社の選定
・選考会議で管理組合保管見積書を開封して、設計コンサルタント作成の比較表と金額を照合する
➀選考・・・比較表と各社提出資料を基に、工事金額だけではなく総合的に約3社選定する
②選考結果・・・見積書提出会社に結果連絡と当選会社にヒアリング出席を要請する
○最終選考・・・ヒアリングにより工事施工候補会社1社を決定
➀ヒアリング・・・事前にヒアリングの案内で必要な事項を通知する
・出席者・・・現場担当技術者、積算・営業担当者
・持参資料・・・工事に対する取り組み、組織表、行程、仮設、下請け予定会社他
・検討課題・・・技術から胃、見積上の課題、各社アピール事項、等
・質疑応答・・・見積上の問題、施工上の問題、会社の疑問点、現場担当者・資料への疑問
・質問他
※ 1社につき1時間とすると、1日3社程度が限度
②最終選考・・・ヒアリング後、引き続き協議して全社一致を原則として施工候補会社を決定
する。
③施工候補会社決定後・・・総会議案書・議案説明書を作成し、工事着工に向けた準備を行う。
以上